戒名は仏門に入ったことを示す名前で一般的に亡くなった後に授けられるものです。多くは僧侶に依頼して授けてもらいますが、自分でつけることも可能です。
可能なら高額なお金を払わず自分で戒名を考えたいという方もいらっしゃるかと思いますが、自由につけられるという訳ではなくルールに則ってつける必要があります。
今回の記事では、戒名を自作する場合の知識や注意点について詳しくご紹介致します。

戒名の自作する際の問題点と注意点

戒名の自作する際の問題点と注意点

実際に戒名を自分でつけるということなると避けて通れないのが菩提寺との関係です。

戒名とは、生前に信仰の厚かった・お寺や社会に貢献した故人が仏門に入ったことの証としてつけられる名前で一般的に菩提寺がある場合にはそこで戒名を授けてもらいそのまま葬儀や納骨をお願いします。

もし菩提寺に何の相談もなしに戒名を考え、それを使って欲しいとお願いしたとしても菩提寺の意向を無視する形となってしまいますので快く了承してくれるとは限りません。ですから、自分で戒名をつける場合には大前提として「事前に菩提寺に相談しておく」ということが大切です。

菩提寺がない・宗教に捉われない葬儀を行うといったような場合であれば自作の戒名を使うことに何ら問題はないと言えるでしょう。

戒名の構成と意味合い

戒名の構成と意味合い

戒名は基本的に院号・道号・戒名・位号の四つで構成されています。
ここからはそれぞれの意味について詳しくお伝えしますので、ご自分で戒名をつける場合に参考にしてみてくださいね。ただし、以下でお伝えするものはあくまでも一般的な構成・宗教に則って考えた場合ですから無宗教葬など宗教にしばられない葬儀を行う場合には気にする必要はありません。

それでは、院号・道号・戒名・位号の順でお伝えしていきます。まずは院号ですが、院号は仏教に深く帰依したという証ですから、本来は寺院に貢献したなど特別な場合以外にはつけられません。ですが近年では寺院との関係によらず院号を用いることもあります。院号は○○院・○○院殿などが一般的ですが○○軒や○○庵とつける場合もあります。

続いて道号ですが、道号は本人の人柄や性格・仕事や趣味などを元にしてつけられます。真面目な人であれば誠岳・優しい人であれば優雲・料理や職人の仕事をしていた場合であれば精覚・美容関係の仕事をしていた場合であれば清心など、一言でその人となりが分かるようになっています。戒名については、戒名は一般的には二文字で書かれます。最も簡単なつけかたは自分の俗名(名前)から一文字、尊敬する方から一文字頂いてつけるというものです。

尊敬する方が思いつかない場合であれば御仏や経典からとるという方法もあります。阿弥陀如来なら「慈」・地蔵菩薩なら「宝」・大日如来なら「照」などが考えられます。最後に位号についてですが、位号は戒名の位を示すためのもので、成人男性の場合は信士・居士・院信士・院居士、成人女性の場合は信女・大姉・院信女・院大姉などが挙げられます。後になるほど位が高くなります。

未成年の場合は年齢によって位号が決まり、三歳位までの場合は嬰子・嬰女、五歳位までで孩子・孩女、十五歳位までで童子・童女がつけられます。

構成に特徴のある宗派もありますので該当する方は注意が必要です。浄土宗・浄土真宗・日蓮宗は前述した構成に加え独自のルールを追加しています。浄土宗で道号は「誉号」という名称になり、二文字目に「誉」または「譽」を使用すると決められています。浄土真宗の戒名も「法名」と呼ばれ、道号・位号はなく、院号・釋号・法号の構成で六文字~七文字となります。

釋号は女性の場合「釋尼」とする場合もあります。日蓮宗では「法号」と呼ばれる日蓮宗の戒名では、一文字目に「日」を付ける決まりがありこれを「日号」といいます。日と自分の俗名(名前)の一部を合わせたものにすることが一般的です。

戒名の意味を理解し自作に挑む

戒名を与えてもらうにはお布施が必要

構成がわかったとしても、いきなり戒名を考えるというのはなかなか難しい話ですね。そんな場合には、著名人やご先祖様の戒名を参考にしてみるといいでしょう。

今回は記事内では著名人の方の例をとってお伝えしますので、この機会にご先祖様の戒名を調べてみてはいかがでしょうか。戒名を見ていくとご先祖様の歩んできた道のりや人柄が感じられるかもしれませんよ。

著名人の方の戒名は本人の功績や人となりがわかりやすいですから、どのような意図で戒名をつけたのかの推測がしやすいものです。それでは実際に昭和の歌謡界を代表する歌姫である美空ひばりさんの戒名を例にみていきましょう。美空ひばりさんの戒名は「茲唱院美空日和清大姉」です。「慈唄・美空・日和」のどれをみても、彼女の印象や人柄を彷彿させる文字ですね。

また、注意点としては道号を考える際です。道号は自由度が高い半面、相応しくないとされる文字も多いです。道号をつける際に注意したいことは、縁起の悪い、また逆に祝い事に使われる文字…死・病・祝・笑などや、動物の名前である牛・馬・猫・犬など(竜・鶴・亀などは使用可)、身体の名称である手・足・首などがあります。ただ縁起のよさそうな文字を並べただけでも意味が無ければ成立しませんし、名の知れた著名人や四字熟語・読む際に悪い言葉になる可能性がある並び、亡くなった場所や原因を入れてはいけないなど、避ける理由はわかりやすいのですが注意しなければいけません。

今回ご紹介したように戒名は条件さえ守れば自分でつけることも可能です。自分の意思で戒名をつけることができれば、より満足してそのときを迎えることができるかもしれませんね。

ただし、戒名は仏様の弟子になるにあたって授かる名前でありお坊さんに付けてもらうのが一般的とされていますから、無宗教墓地に墓を建てる場合・霊園に埋葬する場合は問題ありませんが、菩提寺があり自分で戒名を考えたい場合には菩提寺に相談することだけは忘れないようにしましょう。