孤独死が発見された場合と予防について
一人暮らしの方が年々増えてきている現状と共に高齢者の方のみならず孤独死の件数も増えてきているのが実状です。孤独死に際した場合にはどのような対応をする必要があるのでしょうか。ここでは万が一、孤独死をしてしまった場合に発見からどのようにして遺族の方へと連絡が回り、遺族の方が遺体を引き取ってからはどのように火葬されて帰郷するのかについて詳しくお伝えしていきます。
孤独死の多くは、遺体が腐敗する匂いや家族や知人などの訪問がきっかけで発見されます。万が一、孤独死を発見した際に亡くなっているかどうかが判断出来ない場合にはすぐに救急車を呼びましょう。救急隊員が生死を確認し生存の可能性がある場合は病院へと搬送される事になりますが、事件性が疑われる場合などは警察へと通報されます。孤独死に際した場合には現場のものをむやみに触らないようにして到着後は警察の指示に従いましょう。
明らかに亡くなっていると判断が出来る場合には警察に連絡します。警察が到着した後、死亡理由や死亡時間の推定などの現場検証が行われる事になります。現場検証により身元が判明すると、警察は死体検案書と共に遺体を遺族へと引き渡すように手配します。亡くなった方の公的書類や契約書を参照し遺族関係を調査し、親子>兄弟>親戚といったように血縁関係が近い順に連絡されるようです。発見者が大家さんの場合であれば、大家さんが家族や保証人の方へ連絡する場合もあるでしょう。
現場検証で身元が判明しなかった場合には、DNA鑑定などの検死を行う事になり遺体は専用の保管庫へと移動されるのですが、保管料が一泊で二千円程度かかりますので後日遺族へ請求される事になります。実際には孤独死では身元が判明した場合にも遺族が見つからないことが多くあるそうです。遺族が見つかった場合には、警察から詳しい状況説明を受け家宅捜査で一時没収されていた貴重品や住居の鍵などを受け取り、遺体の引取りや遺品整理等も要求されることになるようです。一般的には遺体を保管している葬儀社から遺体を引き取り、そのまま現地すぐに火葬する事になります。住民登録をしている自治体の方が火葬費用が安いですし、他の地域に搬入するとなると霊柩車を手配する必要もありますので、わざわざ住民登録している場所以外での火葬はあまりおすすめできません。このような事情や流れにより、遺体は引き取った現地で火葬される事が多いので基本的にお骨の状態で帰郷されます
親族がいた場合にも全く縁がないという理由で遺骨の引き取りを断られる場合も現実ではあり得ます。引き取りを断られた場合や親族がいない場合には遺骨・遺品は自治体が管理することになりますが、ずっと管理をしているという訳にもいきませんので一定の保管期間が設けられています。この期間は各自治体によっても異なりますが、おおよそ五年程度である場合が多いようです。この期間が過ぎると遺骨は「無縁塚」に埋葬されます。無縁塚とは、身寄りのない方の遺骨がまとめて埋葬されているところを指します。その為、後から特定の遺骨を取り出すことは不可能です。引き取り先がない場合の遺骨も個別にお墓を作って埋葬されるということはありませんが、無縁塚といえども埋葬自体はきちんと行われますので安心です。
孤独死は可能であれば避けたいものという事は間違いないですが、現実的に何かあった時の為に今からしておけることがあります。例えば周囲の人とコミュニケーションをとる事です。とは言え男性・女性に関わらずコミュニケーションを取ることが苦手な方はいらっしゃいます。ですが孤独死を防ぐ為には周囲の人とのコミュニケーションが重要なので、少しづつでも付き合いを増やしていけると良いでしょう。また、訪問介護や日用品などの宅配サービスや宅食サービスなどの自宅まで来てくれるサービスを利用してサービススタッフの方と日常的に関わりを持つ事も何かあった時の一助となりますので、機会があればそうしたサービスを利用するのも良いと思います。また、相続の事前相談や準備をしておく事や葬儀の事前相談や準備をしておくことで、万が一の時の備えになります。
孤独死の葬儀費用について
遺族の方がいる場合と遺族の方がいない場合とでは誰が葬儀費用を負担するのかは当然変わってきますのでそれぞれのケースを順番にお伝えしていきます。
まずは遺族の方がいる場合ですが、一般的な葬儀と変わらず喪主を務めるご親族が葬儀費用を負担する場合が多くなります。どの様な葬儀を執り行うのかだけでなく、葬儀社によっても葬儀費用は変わってきますので遺族の方は確認する事が大切です。葬儀費用には香典があてられる場合もありますので、全額負担しなければいけないと最初から落胆するのではなく、頂ける香典の額によっては費用がある程度軽減される事を視野に入れておくと良いでしょう。
次に遺族の方がいない場合ですが、亡くなった方の身元が判明している場合には「葬祭扶助」という経済的に困窮している人に対し最低限の葬儀を行える給付金を自治体から受け取れることもあります。読経などを省いた火葬のみの直葬が行われるのが一般的で支給金額は二十万円前後が目安となっています。ただし故人に遺産がある場合にはそこから引かれることになりますので給付金対象外になります。葬祭扶助が受けられる条件は、亡くなった方が生活保護を受けているなど経済的に困窮している場合・扶養義務者がおらず遺族以外の人が葬儀を手配する場合になります。いずれかの条件を満たしていると、喪主あるいは葬儀社が自治体に事前申請することにより葬祭扶助が受け取れます。