納棺と出棺について

葬儀・告別式を終えた後、故人様が納められている棺を火葬場まで送り出すことを出棺と言います。棺は遺族や参列者に見送られながら送り出されますので、一般参列者の方にとっては、故人様と対面できる最期の時でもあります。※地域によっては火葬場で故人の顔を見てお別れができない場合もありますので、火葬場に同行する遺族にとっても出棺が最後のお別れとなる場合もあります。※
棺を火葬場へと送り出す前には一般的にいくつかの儀式を執り行い、故人様のお顔を見ながら最後の別れを惜しみます。その際の儀式を納棺の儀式とし、「別れ花」を行った後「釘打ちの儀」を行うケースが多いです。※釘打ちの儀は近年では行わない地域も多くあります。※

別れ花とは、故人様に話しかけながら、ご遺体の周囲に生花を手向け華やかに見送る儀式です。釘打ちの儀を行わない場合には故人と対面できる最後の儀式となります。別れ花で使用する切り花は葬儀社が用意しますが、どうしてもご自身で用意したい場合には予め親族や葬儀社に確認と了承を得ておきましょう。仏教の葬儀では切り花を嫌い別れ花の儀式は行わず故人の愛用品(燃えやすい物)や枕飯・枕団子・線香やお香などが入れられていましたが、近年では仏式の葬儀でも「献花の義」として、お棺の中を切り花でいっぱいにすることが一般的になってきています。
釘打ちの儀とは、棺に蓋をした後に棺の四方角を釘で固定する儀式です。釘打ちをすると蓋が固定されるので、故人様と対面できる最後の儀式となります。釘打ちの儀には宗教的な意味の他に物理的な意味もあります。宗教的な意味としては死の穢れを忌避するために釘を打つと考えられており、特に神道では死を穢れと考えるので死者が棺から出てこないように釘を打ったと言われています。物理的な意味としては、遺体を無事に搬送するためで昔は棺には無垢の板材が使用されていた為湿度などによる自然現象で蓋が反ってしまう事があったり、土葬が行われていた時代には遺体を座った状態でおさめ二人の人間が棒を肩に担いで運ぶ座棺と呼ばれるものが用いられてたのでその際に蓋が外れてしまわないように釘を打ったそうです。釘打の儀については地域によって違いがあり、近年では死に対する考え方の変化や棺の形態や造り、搬送方法の進化に伴い釘打ちを行う事自体少なくなりました。※浄土真宗では釘打ちの儀式をすることはありません※

お葬式の豆知識

一連の流れについて

別れ花や釘打ちの儀といった納棺の儀式が終わった後、遺体が入った棺は霊柩車へと運ばれます。その際に遺体が入った棺は主に男性の手を借りて運ばれます。納棺の儀式が終わると男性は葬儀社から棺の近くへ集まる様に促される事が多く遺族の男性を中心に6~8人程度で棺を持ちます。霊柩車への移動の際は、位牌を持った喪主が先頭になり次に近しい遺族が遺影を持ち後に続き葬儀社のスタッフの誘導に沿って棺を誘導するか棺の後に続きます。棺を霊柩車に乗せる際に遺体の頭側を前にして入れるか後にして入れるかに関しては地域や火葬炉に入れる際の向きを考慮するか等により異なりますのでどちらが正しいということはありません。実際には葬儀社の指示に従えばその場に応じた正しい運び方になっていますのでご安心ください。
棺が霊柩車に収められ火葬場へと向かう準備が整ったら、遺族は参列者に向かい横一列に並び、喪主が遺族を代表して出棺の挨拶を述べます。出棺の際に参列者は屋外で立ったままお見送りしていますので、基本的に出棺の挨拶は簡潔にまとめ一分から二分程度を目安として原稿にまとめるのであれば300文字から400文字程度にすると良いでしょう。挨拶終了後は遺族一同で一礼し霊柩車は火葬場へ出棺されます。
出棺時のマナーとしては、喪主側は納棺から出棺までの流れの中で行われる儀式は遺族が先導して行うようになっていますので、その時々で葬儀社に促されたらすぐに行動へ移せる様に遺族はなるべく棺の近くにいるとスムーズで良いでしょう。
参列者側は、出棺は故人とお別れをする最後の儀式となりますので、やむを得ない事情がある場合を除き可能な限りは遺族と一緒に参列する様にしましょう。告別式が近くで行われている場合には式に参列しない場合でも出棺には立ち会い、最期のお見送りだけでもできたら良いでしょう。また、出棺の儀式は建物の外で行われますので、冬などはコートを着て待機しても問題ありませんが、出棺の儀式の時だけはコートを脱ぎ礼装で見送りましょう。建物から棺が出棺される際には、コートを手で持って棺の方を向きます。喪主の挨拶が終わり、遺族が一礼したタイミングで参列者側も一礼します。また、霊柩車が出発する際にも霊柩車へ丁寧に一礼し車が見えない位置になったら合掌をします。車が見えなくなった途端に大声で話したり、笑い声を立てたりするのも失礼に値しますので慎むようにしましょう。