生前整理について
生前整理と混同されがちな言葉として遺品整理が挙げられます。遺品整理は人が亡くなった際に遺された家族が遺品を片付ける事を指し、今回ご紹介する生前整理はご自身が元気な間に事前に身辺をある程度片付けておく事を指します。
生前整理というと、病気を患ってしまった場合や、ある程度の年齢になったら行うという印象を受ける方が多いかと思います。しかし、生前整理の本来の目的は時間・体力共に余裕がある内に亡くなった後を考えて行うことですので、近年では若い世代でも生前整理を行う方も増えてきているそうです。
生前整理を行う大きな目的は他の方に見られれたくない物や趣味の物を整理できるという点が挙げられますが、一番は亡くなった後に身近な方に苦労や負担をかけないようにする目的があると言えるでしょう。亡くなった方の遺品を何の準備もなく整理するのは想像以上に大変な事が多く、実際に遺品を片付けるのは肉体的にも精神的にも、時には金銭面でも負担が大きいです。残された家族にこうした苦労や負担をかけない為にも、不要な物を減らす・譲り先を決めておいたりする生前整理は大切なのです。
生前整理を実際に行う際、まず避けて通れないことが財産についてです。財産とは現金や預貯金のだけでなく、家や土地・車・株式証券等・宝石類・骨董品などのことを指します。財産については何をどれくらい持っているのかを把握した上で、財産目録を作るかエンディングノートなどに書き出す事をおすすめ致します。人が亡くなった後には相続が起こりますので遺族は相続財産を分けるという事になりますので、実際に財産がどれ程あるのかという事を調べるとなると時間や手間がかかるので目録などで具体的に記しておくと遺族も一から調べるといったような手間や時間を省くことができます。更に財産を早めに把握しておくと、相続税の対策を行う事も出来ます。場合によっては生前贈与などで税金対策をすることも可能なので目録を作った際には専門家に相談してみても良いでしょう。
続いて避けて通れないことが物についてです。大量に物が残されているとその処分に困るという自体になりかねません。本当に必要な物以外は処分する作業に取り組み、何を処分し何を残すのかを見極める事が大切です。
その他の注意点について
現実問題として亡くなった後の事は自分ではどうすることもできません。
葬儀のあげ方や財産の分け方・身辺の物の処分の仕方などは希望がある場合にはしっかりと文面に記しておくと、ご自身の為だけでなく家族が困らなくて済みます。特に財産の分与については確実に自分の意思を通したい場合には遺言書を作らなければいけません。遺言書には法的な決まり事が細かく決まっており、正式な遺言書には法的効力を持ちます。遺言書がなくても民法の規定に従い遺産分割はされますが、法で定められた相続人以外の人に財産を引き継ぎたい場合や、特定の財産を特定の人に遺したかったりする場合には正式な遺言書で示しておかないと叶わない場合があるうえ、残された方々が遺産分割で揉めない様にするためにも遺言書を作っておく事が得策でしょう。
遺言書のような法的効力はありませんが、エンディングノートはお葬式やお墓についての希望や大切な人へのメッセージを記しておくことも可能です。財産の管理を他の方に任せたい場合には、家族信託という方法もあります。家族信託は、家族の誰かに財産を託し管理や処分を任せる契約を結ぶことですので、遺言ではできない財産処分が可能になる他、節税がかなう場合もあります。気になる方は家族信託の知識が豊富な弁護士や司法書士へ事前に相談してみると良いでしょう。