単身の方の終活の意義
単身で過ごされている方の場合「終活はしなくても良いもの」として捉えがちなのですが、実際に老後単身者の方には様々なリスクがあります。
大きな問題のひとつ孤独死となる可能性が高くなるという点です。孤独死とは、一人暮らしの方が居住していた住居などで誰にもみとられることなく最期の時を迎えてしまう事を指します。死に至る原因は様々ですが、孤独死を迎えるという事は助けを求めることが出来ずに亡くなってしまうという事です。近年ではご近所付き合いも減ってきている傾向にあり死後気づかれるまでに時間が掛かる場合も少なくはありません。
また、孤独死の場合には遺品整理も大きな問題となってしまいます。大切な財産や書類などの重要なものがあったとしても事前に何もしていないと誰かに伝える事が出来ず、最悪の場合は処分されてしまう場合があります。また家族の方に譲る物が分かっていても整理が付いてない場合には探し出すことは一苦労です。現実的に孤独死をする方の多くは一人暮らしの高齢者の方です。この様な孤独死による様々なトラブルを避けるためにも、単身者の方にも終活が必要だといえます。
また、孤独死だけのリスクだけでなく、病気や要介護状態などで動けない状態になったとしても、誰にも面倒を見てもらえず困ってしまうというリスクもあります。元気に体が動く内は、単身であっても生活に支障はなく自由度が高いと言えますが、病気や怪我で動けなくなった場合には単身者の方は誰かに頼る事すら困難な場合もあります。いざという時に頼れる家族がいたとしても、遠方にいるなどの場合には身の回りの世話をして貰うことは難しいケースも想定されます。いつ病気や怪我で動けなくなるかということは高齢者・単身者といった限定した方に限らず誰にも分からないことです。元気な内にこそ、終活をしておくことをおすすめ致します。
単身の方の終活
具体的に何歳ごろから終活を始めるかと考えた際に思い浮かぶ年齢は人それぞれです。しかし、単身者の方こそ早めに終活の準備をすることをおすすめ致します。
具体的には四十代の気力や体力が十分にある年代です。四十代というと早すぎると感じる方が多くいらっしゃるかと思いますが、自身が四十代になった頃のご両親はどうでしょうか。多くの方の場合はちょうど老齢に差し掛かる頃ではないでしょうか。もしかしたらご両親も自分の最期のことを考え、終活を始めている場合もあるかもしれません。実際、両親が終活を始めるタイミングにあわせ自分も一緒に終活を始める方も少なくはないのです。両親が亡くなることで兄弟姉妹がいない方は突然身寄りがいなくなってしまう場合があります。突然の孤独に見舞われた場合でも早めに終活を始めていたという事実は大きな意味をもつでしょう。
更に、四十代になると身体の衰えを感じたり病気にかかるリスクが人によっては増えてきます。最悪の場合には突然の病気などで、急に入院しなければならなくなることも考えられます。いつ何があるかわからないという事は年齢や病気のリスクに関わらず誰にでも当てはまる事ですが、大切なのはその事を頭の片隅に入れ、早めに終活を始めるといったような今からでも出来ることを少しづつでも始めておくことでしょう。
単身者の方の終活でやることは数多くあります。
単身者の方の場合は終活で葬儀の内容を生前に決めておくことをおすすめ致します。自分の葬儀のことを任せられる方がいらっしゃれば良いのですが、そういった方がいらっしゃらない場合などには残された方が困惑してしまう可能性がありますので自分の葬儀のことは自分で決め、生前に契約しておくと安心でしょう。またその際に、自分が入るお墓があるかどうかを確認しておく事も重要です。先祖代々のお墓があるか大丈夫と思っていた場合でも、実は永代使用権者の家族ではない等といった理由などで入ることができなかったという事もありますので注意が必要です。
財産の整理は特に重要な事柄になってきます。預金や証券などの財産がある場合には誰に引き継ぐのか・どのように活用をするか等をしっかり決めておく必要があります。仮に身寄りのない単身者が遺言なしで亡くなってしまった場合には、財産はすべて国庫に入ることになります。人に譲りたいものがある場合などは必ず遺言書を作成し自分の意志を残しておきましょう。
近年、自分の意志や周りの方への感謝の気持ちを伝える為にエンディングノートを書く方が増えています。エンディングノートは、自分の人生の記録や最期の希望を書き記すものです。葬儀のことや死後のことについての希望を書くことで周りの方にあなたの意志を伝えられます。譲りたい遺品や大切な書類のことなども伝えられるので周りの方が遺品整理をする際の目安になります。しかし、エンディングノートには法的拘束力はありませんので、相続させたい財産がある場合は遺言書を作成することが重要です。相続に関する希望を遺言という形で残しておくと遺産をめぐる争いを事前に防ぐことが出来ますので、財産を誰にどれだけ相続したいのかが決まったら遺言を明確に示しておきましょう。
最後に単身者の方におすすめしたい制度が「任意後見人制度」です。任意後見人制度は判断能力が低下してしまった際の為に備え締結できる制度です。締結をする場合には、判断能力がある内に行う必要がありますので、事前に信頼出来る方に相談をし後見人になって貰いましょう。任意後見人制度によって選んだ後見人は、判断能力が低下した場合や死後に財産管理や介護・医療などに関わる事務手続きを代行します。法廷後見人制度と違う部分は自分が信頼のおける人物を後見人に指定できる点になります。